「IT業界の転職人数」を割り出してみました。

「エンジニアの採用が難しい」

人材業界に関わっていると、人事や採用担当者からこの言葉をよく耳にします。

そこで、エンジニア採用が本当に難しいことを数字で表してみようと思います。

アプローチするのは、「日本には何名のエンジニア」がいて、「どれだけの人数が転職活動を行っている」のかという事実。

「採用困難」な状況には、企業規模、事業内容、社風、採用ターゲット、採用人数、勤務地など様々な要因が絡まるのですが、ここではテクニック論ではなく、統計に終始いたします。

日本のエンジニア数

情報処理推進機構(IPA)調査の「IT人材白書 2017」によると、IT企業の人材数推計は以下の通りです。

図表1 「IT企業(IT提供側)の人材数推計結果(IT人材白書2017)」

上記の中から、「受託開発ソフトウェア」「パッケージソフトウェア」「組込ソフトウェア」「情報処理サービス業」をピックアップいたします。

※開発会社の人材ということで、ざっくり抽出で失礼いたします。

合計788,115名

企業組織は全員が開発エンジニア(PG・SE)というわけではなく、コンサルタントや研究者も在籍しています。IT人材の職種別推計は以下の通りです。

図表2 

「IT企業(IT提供側)のIT人材の職種・レベル別推計結果(IT人材白書2017)」

今回は開発エンジニアの人数を推考したいため、「プロジェクトマネージャ」「システムアーキテクト」「アプリ系技術者」をピックアップいたします。

合計55.2%

788.115名の55.2%ということで、429.519名。

つまり、日本の開発エンジニアは429.519名と計算できました。

転職者のπ

今回の調査の核心、開発エンジニアの転職事情に迫ってみます。

多くの企業が欲しい年齢層は30歳前後。企業活動の中心的存在となる世代です。

次の表はエンジニアの年齢構成を示したものです。

※図表3

「日本の情報処理・通信に携わる人材の年齢構成(2010年度版)」

 (日本の国勢調査結果を基にIPAが作成)

25~34歳は35.5%。

日本の開発エンジニア総数は429.519名なので25~34歳の開発エンジニアは152.479名。

次に、厚生労働省が発表している「雇用動向調査(平成27年度版)」の入職率を使用します。

※図表4 「産業別入職率・離職率」

入職率とは、労働人口のうち、ある一定の期間に新たに入職した人の割合。企業などの労働者在籍数に対する、新たな入職者の割合。(デジタル大辞泉より)

上記によると、情報通信業の1年間の入職率は11.6%。

152.479名のうち、1年間で新しい環境へ身を移した人数は17.687名。

入職率は全ての世代を対象としている割合なので、多少の前後はあるかもしれませんが、アクティブに動いている転職世代ということもあり、このまま使わせて頂きました。

年間17.687名を月間(12ヶ月)で割ると1.473名。

1ヶ月あたり約1,500名を複数の企業で奪い合いとなっています。

複数の企業の実態を把握するために、各転職媒体で開発エンジニアをソートにかけてみたところ、以下の数字が出てきました。

転職媒体A/4.473件

転職媒体B/2.501件

転職媒体C/3.438件

※2017年5月10日現在

求人は、上記の転職媒体以外にも掲載されている企業もありますし、企業によっては複数名の同時採用も行っています。転職媒体以外にもエージェントやハローワークなどの窓口もあります。

1名の開発エンジニアを採用するために、多くの企業が奪い合っていることは間違いありません。

企業側にとっては厳しい現実です。

御社は選ばれる企業として、最適な取り組みを行っているでしょうか?

次回は「選ばれる企業になるための求人票の書き方」をレポートします。

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